- wakatte.TV (わかってTV)とは?
- 結論
- 理由①日本の若者は自分の境遇を相対化することに慣れているから
- 理由② wakatte.TVの二人は、「学歴がすべてではない」ということを知っているから
wakatte.TV (わかってTV)とは?
wakatte.TV、わかってTV。受験界隈では、超超有名な学歴系バラエティーYouTubeチャンネルですね。
wakatte.TVとは、
ふーみん (京都大学経済学部中退)
という男性二人のコンビによるYouTubeチャンネルで、街中の若者に学歴を聞きまくり、ほめたたえる、馬鹿にする、などなどの行為で笑いをとる大変失礼なYouTubeチャンネルです。
・Marchは三か月(Marchは三か月で合格できる)
・日東駒専は中途半端
・お前Fラン大だろ
などなど過激なことを発言して、チャンネル登録者数を伸ばしてきました。
そんなwakatte.TVは登録者数約50万人を誇り、ほかの学歴系YouTubeチャンネルを凌駕する影響力を誇ります。
なぜ、こんな人を馬鹿にする内容でありながらも、登録者50万人をも擁しているのでしょうか。しかもその50万人が全員高学歴というわけではなく、ふーみん曰く、「中途半端な大学」「Fラン大」の学生も実はwakatte.TVを視聴しているのです。
さらには、様々な偏差値帯の学生も快くwakatte.TVのインタビューを引き受けているという事実もあります。
私もこのチャンネルに出演した際、Fラン大の友人から、「わかってに出てたね」と言われたことも2~3回あります。
決して高学歴のみから支持されているというわけではないのです。
”こんな過激な内容で、人を低学歴だと馬鹿にするこのチャンネルがなぜ50万人からも支持されているのか”
これがこの記事のテーマです。私なりの見解で、超真面目に説明させていただきます。
それでは結論から述べます。
それは、
結論
・日本の若者は自分の境遇を相対化することに慣れているから。
・wakatte.TVの二人は、「学歴がすべてではない」ということを知っているから。
の二点です。
理由①日本の若者は自分の境遇を相対化することに慣れているから
最近の若者の流行りの言葉って結構シリアスというか残酷なものって多くないですか。
・親ガチャ
・片親パン
・負け組ランドセル
・トー横キッズ
などなど。
親ガチャは、自分の現在の能力を親の経済力や家庭環境と結び付け、自分の能力は親によって決まる、つまりガチャであるという考えのことですね。自分が学力が低いのは、親がバカであるからだ、あいつが賢いのは単に親が金持ちだからだ、などといった主張がそれにあたります。
片親パンは、スーパーで売られている安い5個入りのパンのことを指し、片親で貧乏な子供がこれを食べて空腹をしのいでそうという想像に基づいたスラングです。
負け組ランドセルは、ウーバーイーツの宅配員の持っている箱で、ウーバーで働くのは社会の負け組であるという考えのもとに作られた言葉です。
どれも残酷すぎる言葉ですね。
その言葉が正しいのかどうかを明言するのはさておいても、このような言葉が流行するのが日本の若者の現状なのです。事実としてそうです。
SNSで他人の日常を覗け、日本の経済状況に対して悲観的なニュースが飛び交う中、日本の若者は、自分の置かれている社会的な状況を相対化して考えるのに大変慣れているということです。
偏差値、容姿、経済状況など個人のステータスについて相対化して他人と優劣を心の中で他人を自分と比較している、だから社会的弱者に関するそういうスラングが飛び交っていても、違和感なく受け入れて、自分の立ち位置を把握するのです。
先行きが見えない社会と言われ誰もが不安になる中、自分がいまどういう立場に置かれているのか、やはり知りたいですよね。
大学生にとって、不安な将来について自分が社会的にどういう立ち位置にいるのかを予測するのに役立つ指標が偏差値です。
その偏差値についてお世辞を言うわけでもなく、独自のまなざしで、評価をしてくれるwakatte.TVは正に若者受けがいいといえるでしょう。
ふーみんに「中途半端だ」とか罵られても、大学生はそれを把握していて、ちゃんとふーみんにその立ち位置を遠慮なく言ってもらえるので、若者受けがいいでしょう。
視聴者は、いろいろな大学の序列をはっきりさせる、つまり相対化させてくれることで、自分がどういう立ち位置なのかをすっきりとさせることができます。
高学歴ならば、自分がいいポジションにいることで満足できますし、低学歴ならば、wakatte.TVに正直に現状をぶつけてもらえる、視聴者は自分のポジションを相対化することでリアルな社会の構造を鮮明に描けるのです。
これがwakatte.TVが学生から支持される最も大きい理由だと思います。
大学生にとって身近な「偏差値」というものを武器に、人々を相対化していって社会の構造をコミカルに表現して、視聴者は自分がどういう世界のどのポジションで生きているのかを把握できる。
さらに若者は自分の属性を相対化するのに慣れているために、偏差値という側面から社会の構造を描くwakatte.TVには共鳴しやすいのでしょう。
ウーバーイーツのことを負け組ランドセル、自分の欠点の原因を親にあると考える親ガチャというスラングが流行っていますが、その学歴版がwakatte.TVなのではないでしょうか。
この主張を言い換えるものとして、
「wakatte.TVはリアル人生ゲームの実況者だ」
という表現を思いつきました。
人生ゲームって、わかりやすいですよね。お金の多寡で人生が成功か失敗か決まるわけです。
wakatte.TVはそんな我々の人生ゲームの「大学生」というポジションの時にレースについてコミカルに実況しているのでしょう。
これが受け入れられるのもまた、我々若者が「自分自身を相対化するのに慣れているから、また自分の現状を受け入れられる」ですね。
理由② wakatte.TVの二人は、「学歴がすべてではない」ということを知っているから
wakatte.TVの二人って高学歴なんですが、結構苦労人です。
ふーみんは、親が高卒で高学歴一家に生まれたというわけではなく、京大E判定から苦労してつかんだ京大合格でした。
びーやまは一浪して苦労の末につかんだ早稲田の合格です。
wakatte.TVの二人は華々しい人生を歩んできたわけではなく、努力の末につかんだ今があるのです。
でも結局今の二人のキャリアって、学歴関係ないですよね。ふーみんに至っては、京大中退なので、実質高卒です。
視聴者もよく、ふーみんに罵られたあと、「でもふーみんさん結局高卒ですよね」とかって反撃しています。
視聴者もふーみんが高卒とわかっていてインタービューを受けているわけです。
わかってTVのチャンネルのトップにはこんなことが書かれています。
この、「絶対にこんな大人になるなよ!」というメッセージが「学歴は全てではない」ということを物語っています。
努力する大切さを知っているこの二人からのメッセージ、さらにふーみんが高卒という事実。
結局は努力で運命は変わるという、学歴だけでは決まらない、という主張を体現しているのが、びーやまとふーみんで、それを視聴者や出演者は知っているのでしょう。
だから、こんな人を馬鹿にするような動画でも受け入れられるのかもしれません。
以上がwakatte.TVの人気の理由の考察でした。楽しんで読んでいただけたら幸いです。